2015年5月26日火曜日

学力が高い子が育つ家庭環境

文科省の肝いりで行われた平成25年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」の報告書がなかなかに刺激的で面白い。

「全国的な学力調査」というのは、政府が全国の小6・中3を対象にしてやっている全国学力テスト。だから、ここでいう「学力」というのは、別に難関中学の入試を突破できるような学力ではなくて、もっと基礎的なものになる。

この報告書が色々なところで話題になったのは、家庭の収入と子どもの学力の関係をものすごくはっきりと見える形で明らかにしたから。

報告書の、特に小6の部分を読んでみたところ、収入が高い家庭では子どもの教育により多くのお金を使い、それが学力という結果となって表れるのがわかる。

月々の学校外の教育費が5,000円刻みで回答されているが、教育費が増えるほど国語も算数も点数が上がっていく。

まあ、これは学習塾なり公文なりに通わせている家庭の子どもの方が学力が高い、という身もふたもない理由によるのだろう。

ここまではまあ外国の調査などでも必ず出てくる話なので、さほど驚きではない。

面白かったのは、家庭でのどのような取り組みが学力の向上へと繋がるか、という分析。

しつけの方針とか、読書関連とか、博物館や科学館に行くか、などなど。さらに、こうした行動はそもそも親の年収などに影響を受けるので、年収などの家庭の社会経済状況の影響を除いた上で、どれだけ学力と関連しているかをみている。

まず、何よりも学力と結びつきが強いのが読書関連。小さい頃読み聞かせをしたか、本や新聞を読むようにすすめているか、読んだ本の感想を子どもと話し合うか、子どもと一緒に図書館に行くか、といった行動があると、学力が高くなる。

一方、生活習慣は学力との結びつきが弱い。起きる時間と寝る時間などはあまり関係がない。朝食を食べさせるかどうかと、テレビゲームの時間を制限するかは、関連している。

親子間の信頼関係では、やはり子どもと勉強や成績のことについて話をしたり、将来や進路について話をするほうが学力が高くなる。時事問題やニュースについて話すのも効果がある。

文化的行動、つまり美術館や劇場に行くかどうかは、学力には影響なし。博物館・科学館も影響力が弱い。

最後、「勉強しなさい」と子どもに言うのが逆効果なのが笑える。もっとも報告書では、勉強しなさいというから学力が下がるのではなく、学力が低いから親が勉強しなさいと言うのだ、という解釈をしている。

ここに書いてあることは、私がお会いしたことのある、ほとんどの親子英語関連の家庭で試みられているのではないかと思う。そういう意味でも、みなさん、本当に家庭環境の整備ということに関して前向きだ。

一部、学力にあまり関係ないと判明したこともあるが、生活習慣などは成績が上がるから、というよりも、健康で生産的な人生を送るために必要なことなのだし、美術館・劇場も人生を豊かにしてくれる。

また、気になるのが、教育費の使い方。

教育費に月5万円以上使っている家庭が4%存在しているが、これはおそらく中学受験のための学習塾だろう(収入が一番多い層ではなんと33%が5万円以上使っている!)。これだけ投資されている子どもたちの学力は確かに飛び抜けて高い。

我が家では習い事がたくさんあるので相当な額が教育費に毎月消えているが、学力テストの成績に結びつきそうなものはまったくない。こういった家庭はこの調査では例外的なのかもしれない。

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