2009年9月14日月曜日

「母国語方式」について考える

ましゅーママさんのところで、「『母国語方式』が優れているって証拠は、たいしてない」と書いてしまったので、ちょっとフォローをするべく、いろいろと調べてみた。

ちなみに、「母国語方式」というのは、「母国語を身につけるように、(楽して)英語を身につけましょう」と、幼児向けの英語教材が謳っている宣伝文句。DWE(ディズニー英語システム)のホームページのトップには「無理なく自然に、母国語を覚えるように英語が身につく」とはっきり書いてある。セサミストリートのキャラクターと映像を使った教材、セサミえいごワールドのホームページには「子どもの聴覚は、大人には想像できないほど鋭いものです。特別な訓練や教育がなくても、話しかけられた音を聞き、ことばが使われる場面を経験するだけで、5歳くらいまでには母国語の基本を習得してしまいます。」とある。(ちなみに、ワールドワイドキッズのサイトにはこういった表現は見つからない。とっても思慮深いな、というのが私の感想だ)。

もちろん、幼児の持つこの能力を各種教材が強調する背景には、大人はこの「母国語方式」が使えないために、いわば外国語方式、つまり中学校から始まる英語の授業でやったような、お勉強で英語を学んでいかなくてはならない、という前提がある。

「母国語方式」が優れているって証拠は、たいしてない、というのは、以前、なおに早期英語教育をしよう、と決めたとき、バイリンガルについて、そして外国語の早期習得についてちょっと調べたときにどこかに書いてあったように覚えているのだけれど、今改めてネットを漁ってみても、見つからない(^^; 

なので、「母国語方式」が優れているともいない、とも決めつけずにいろいろと考えてみる。

言語の獲得(学習、習得)について研究している学者が、ほぼみな同意しているのは、海外に移住などして、新しい言語を身につけなくてはならないという状況に置かれたとき、年齢が小さければ小さいほど、その獲得がかんたんになる、ということだ。

そういう意味では、「母国語方式」はかなり良い、ということになる。ただ、この手のデータは常に、海外移住者やいわゆる帰国子女を対象にした研究であり、データだ。日本に住みながら英語を身につける場合、まず日本語を確立しなくてはならないし、環境もみな日本語になるので、帰国子女のやりかたは絶対そのままでは通じない(インターナショナル・スクールに通わせるなら別)。

「母国語方式」の宣伝のときに、必ずでてくるのが「臨界期」の話。セサミえいごワールドのこのページでは、6歳まで、といった記述がでてくる。この業者によると、10歳を超えるともう外国語は身に付かないそうだ(さすがにこれは凄い無理がある記述だが)。

この臨界期の存在は、学者の間でも意見が分かれるようだ。思春期頃に何かが大きく変わる、と考える人は多い。もっとも、成人してから移民したような場合で、外国語を身につける人は多くいるので、別に「絶対」駄目というようなものではない。もっとも、発音や、特にリスニングには、はっきりとした臨界期があると思う(個人差もあるが)。

さらに、言葉は忘れてしまうということも、重要な事実。10代で帰国した帰国子女が、半年や一年で英語をみな忘れてしまった、というケースはいくらでも見つかるし、逆に海外に長く住むと、成人するまで流ちょうに話していた日本語ですら、怪しくなっていく。

大人になってから(もしくはある程度知的に成熟した思春期から)英語を学ぶと、英語についての自分の意志がしっかりしていて能動的に学べる、そしてすでに日本語で確立した高い知的能力を駆使するため、効率よく英語を覚えることができる、という利点がある。絶対的な必要時間で言えば、圧倒的に「外国語方式」の方が短い。

また、日本語で覚えた知識・思考能力は、英語で喋るときにも役に立つし、その逆もしかり。「転移」と表現されるが、どちらかの言語で高い知的能力をもっていると、別の言語を覚えた際も、高い抽象的な言語能力として役に立つ。

つまり、どんな方法で覚えようと、英語を道具として身につけておきたいのなら、一生、なんらかの「勉強」が不可欠。そして、何歳になったら英語を身につけるのが「遅い」「間に合わない」ということもなく、英語を聞いて英語で考え、英語を話すようになることができる(私も、英語で寝言を言っていた時期があった)。

でも、幼児期から始めれば、発音やヒヤリングも日本人の癖が出にくいし、幼児期から長く続けることのメリットというのも大きい。うまくいけば、(才能と努力次第で)高度なバイリンガルになれる。

とこのあたりが常識的な見解だと思う。こう考えると、ほんと、ワールドワイドキッズ、つまりベネッセのHPの宣伝は良くできている。「幼児期から英語にふれておくことは、その後の学校教育や社会に出てからも大変有利で効果的と言えます。」という程度で抑えてある。

私の意見もこのあたり。

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2 件のコメント:

ましゅーママ さんのコメント...

いろいろと勉強になりました。ありがとうございます。

思い返せば、息子に英語を教えようと思ったのは、「勉強として英語と出会う前に」英語に親しませておきたい、英語の音を聞き分けられる耳を育てておきたい、というのが始まりだったのです。

子どもがまだ興味を持つかどうかも分からない時から英語を取り入れたのですが、すんなりと英語に興味を持ってくれたなので、私も色々と欲が出てきてしまって…。

まだ4歳なので、○○方式とかに捉われることなく、息子が楽しみながら英語に触れていってもらえればいいと考えています。

なおぱぱ さんのコメント...

専門家ではないので、結構適当かつわかりにくい文章ですいません(^^;

うちも、そもそも「こどもちゃれんじEnglishでいいかな」とか思っていたクチなので、こんなにのめり込むつもりではありませんでした。

うちの子もそのうち、日本語がもっと上達してきて、日本語の意味を知りたがったりすると思います。そのときに改めてやりかたを考えていこうと思います。