2009年8月15日土曜日

日本の家庭での幼児の英語漬けは失敗する?

「バイリンガルの科学」という本を読んでみた。「8歳までに英語を教えると抽象的な思考ができなくなる」といった、かなり過激かつ極端なアンチ早期英語教育の主張の根拠としてあげられていたので、どんな本かと思ったら、だいたいデータに基づいて議論するまじめな本だった。



ただ、そのデータというのが、主に帰国子女を中心としたものなので、著者の主張も、そのあたりが中心になる。

簡単に言えば、小学生ぐらいまでに海外赴任などで子どもの言語環境が劇的に変わる、というのはかなりのストレスになる。海外で過ごしたからといって、そう簡単にバイリンガルにはならない。成功例もないわけではない。というあたりだろうか。別に目新しい情報ではない。

なおぱぱに関心があるのは、家庭での早期英語教育のところ。著者によれば、これは「毒にも薬にもならない」とのこと。「日本の家庭での幼児の英語漬けは失敗する」という節もあるが、これは自宅で英語だけの環境にして、日本語に触れさせないようにする、という極端な家庭の話なので、あまり参考にならない。

結局、親子英語のブログにあるような、日本で(日本語環境で)、家庭と塾などを使って英語を学ばせる、という場合に、どんな問題が生じうるのか、成功のための条件は何か、ということに関して十分な研究の蓄積がないということなのだろう。

親子ブログを何年も続けているような人たちというのは、成功例だと思う。でも、その裏に、何人のママ・パパが挫折したのだろう。何人の子どもが英語をいやがって拒否するようになったのだろう。成功の秘訣を探るためには、成功例ばかりみても駄目で、失敗した家庭も多く当たってみないといけないけれど、ちょっと、そのあたり、調べてみたくなった。

一方、帰国子女の場合、大きな問題になるのが、環境と文化の変化だ。これは、日本から行く場合も、日本に来る場合も同様。言葉というのはもっとも大きい問題だけれど、それに付随して、子どもはいろいろな変化に適応しなくちゃいけない。いじめられたり、疎外されたり。単に「言葉が2つで混乱する」とまとめられない問題だ。

もちろん、多言語環境では、言葉と言葉の距離、という問題もあって、似た言語なら混乱が少ないし、遠い言語ではバイリンガルになるのが難しい。ヨーロッパ語同士のバイリンガルと、日英のバイリンガルを一緒にしてはいけない、という著者の主張ももっともだ。ヨーロッパだと、たとえばイタリア人が「フランス語は勉強したことないけど、聞いていればちょっとは理解できる」なんてことも当たり前なんだけど。

もう一つは文化の優位性の問題。日本からアメリカに行って、子ども時代をアメリカで過ごした場合など、「どうして日本語をやらなくてはいけないの」となるのは当然。言語は、それ自体では目的にならない。意思疎通をしたい相手、理解したいものがあるからこそ、言葉を学ぶのだ、という単純な話だ。

そういう意味では、なるべくなおにも、英語でしか楽しめないもの・ことを経験させて、「どうして英語をやるの」という疑問が生まれないようにしたいなあ、と思うのだった。


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